車いすの夫とベルリンへ行きたいブログ

車いすユーザーの夫と暮らして発見したことなどをつづります。ドイツ語学習中。

エレベーター、この複雑で一筋縄ではいかない問題を言語化してみる試み①

ちょっと前に、ネットなどで話題になっていたようです。

エレベーターのことが。

 

車いすユーザーがエレベーターに乗りたいのに、混んでいて乗れない、という問題です。

 

エレベーター、これは古くて新しい(?)問題。

簡単なようで難しい問題。

そして(我が家の場合は)けっこう、心の機微に触れる問題なのです。

この、一筋縄ではいかないエレベーターについて、書かせてください。

 

歩けない我が夫、当然のことながら上下階への移動はエレベーター。

と、お思いですよね!!

 

でも、うちの夫さん、運動神経が良いので(と私は思っている)エスカレーターもフツーに乗れます。そりゃもう、歩いているかのようにスーッと乗ります(笑)。でも、乗っているところを見つかると止められるからお行儀良くして、乗らないのです。なので、公には「夫はエレベーターでしかほかの階に移動できません」ということになっています。

 

まあこれ、悲しいのですよ。ある週末の百貨店での出来事です。

2階から1階に移動しようとしてエレベーターを待っていると、やっと来たエレベーターは満員で乗れません。

見送って待っていると、次のやつもまた満員。

次のやつも当然満員です。最前列に乗っていた外人さんが私たちを見て「Oh...(残念だね)」と肩をすくめていました。笑

 

思い出してください、百貨店のエレベーターがどんだけ来ないか。どんどん時間がたって、疲労がたまります・・・。そこで、次のやつが来たとき、言ってみました。

 

「すみませーん、譲ってくれませんか」

 

こんな簡単なことなのに勇気が必要で、情けなくも心臓がどきどき、変な汗が出てきます。

 

すると……しーん。。ノーリアクションです。

あ、無視ですか………と口に出しそうになったとき、無言の人だかりがススス…と動いて入り口近くにほんの少しのスペース。

 

あ、これって譲ってくれてるのか。笑 いや、譲ってる……のか?

なんとか夫は入れましたが、私が入るほどのスペースはない。

 

あ、健常者は歩けってか、ある意味正しい。

「じゃ、私は階段で行くね(隣にある)」と夫に声をかけました。

 

この間もエレベーターの中は「しーん」ですが、お一人、「私降ります」と、降りてくださいました。お礼を言いましたが、その方は目を合わさず、なんだか逃げるように行ってしまいました。

降りてくれた方に心で感謝しつつも、乗っている間も変な汗がじわじわ出ました。

 

この経験から学んだことは一つです。たった1人を除いたほとんどの人は、エレベーターから降りたくないんだな。外見からはわからなくても何らかの事情でエスカレーターや階段は使いづらい人もいらっしゃいますから、一概には言えないのですが。

そしてなんだろう、冷え冷えとした気持ちが、思い出すと今もわきおこります。

 

しかし、心から思ったのは、「『譲ってください』を夫が言うのはきついだろうな」ということです。

私が夫のために言うほうが、夫が自分のために言うより、数倍、簡単だと思うのです。

 

なぜなら、反応がなかったときのダメージが違うと思うから。

人の立場を代弁するだけなら、「あちゃーだめだった」ですみますが、もし「自分のために降りてください」と頼む立場だったら。それで無視されたら、ちょっと繊細な人なら自分を否定されたような気持ちになるでしょう。もちろん頭では、そんな風に思う必要ないってわかっていても。「スムーズに下の階に移動したいだと?あなたのような人にそのように願う権利はありません」と言われたような気持ちになるかもしれません。

 

ちなみに夫の言葉では、「てめーくっせーから来んなよ」と言われているように感じるそうです。笑

 

だから、満員のエレベーターを前にしたら、これからも私が、なるべくでかい声で「のっりまーーーっす!!」と言おうと思います(でかい声で言えるようになりたい)。

 

 

ところで……。

じゃあ、エレベーターを障害者専用にしたらいいじゃん!とお思いでしょうか?

夫の考えは違います。そして私も、夫の考え方に納得しています。

 

詳しくは続きます!