車いすの夫とベルリンへ行きたいブログ

車いすユーザーの夫と暮らして発見したことなどをつづります。ドイツ語学習中。

立つことのできない夫が立って写真を撮ることになった話②

(前回からのつづき)

・・・・・・立って写真を撮るだって??!

 

正直、一瞬「立って撮るわけないじゃん汗。夫の心が傷ついてしまう」とうろたえました。

しかし夫は、

 

「えー、おもしろそう、とってみたい」

 

と乗り気です。まじか・・?

 

どうやら、立って撮るのを提案してくださったのは、伝統的な婚礼写真が「夫立つ・妻座る」という配置だからだったようです。

私も初めて知ったのですが、夫がどっち側立つとか、関西では逆とか、いろいろあるようでした。

 

迎えた撮影当日。

 

夫の着付けは気づいたら終わっていました。笑

夫、紋付き袴は初めてだったとのことで、もともと和風顔で着物が似合うこともあってまんざらでもない様子。

 

写真スタジオで撮る和装の写真というのは面白いもので、着物がベストな形で写るように、袖に板を入れたり裾に重りを乗せたりします。

私が座る角度もミリ単位で調整され「お嫁さん!それで動かないで!!」とぴったり決めます。

ちょっと違うとカメラマンさんのお姉さんが飛んできて、息を切らしながら調整。

 

合間に聞かれます。

「この椅子座れるかな?」(背もたれのない丸椅子)

「私がですかー?(着物だからかな?)」

「ダンナさんだよ。奥さんには聞かないよ」

ですよねー笑

 

私もよくわからないので夫に聞き、車いすから移って座るにはひじ置きのある椅子のほうがいいなどの希望を伝え、立って撮るなら背もたれのしっかりした椅子でいけるのか、机みたいなものが必要なのか、いろいろ話しました。

 

そしていよいよ立って撮るカットです。

私自身は斜め左前から撮られるような角度で、背もたれつきの椅子に完璧にセッティング。背もたれには夫が手を置きます。

いすに座る深さから顔の角度までベストに調整され、見えないように着物をクリップで留め、

「ダンナさんこの背もたれにつかまって立てますか?!」

 

すると夫、「あ、逆がいい」とぽつり。

 

夫は片方の脚(右?)には少し筋肉があり、右側で支えるほうがつかまり立ちしやすいのです。

 

「逆だって・・・!?」

一瞬空気が凍り付いたものの、気を取り直してすぐに逆向きにセッティングし直してくれたカメラマンさん。

ありがとうございました。汗

 

夫の顔が私のより上にあるー!撮影の間、それが新鮮でした。

夫は腕がプルプルしていたようですが、いつものように「余裕だぜ」と強がっていました。

 

うれしかったのは、いろいろ試させてくれたことです。

 

車いすユーザーに対して、「できるか試してみる」という時間を与えてくれるサービスは少ないと思います。それは業者さん側の手間になるから、当然といえば、当然ですね。「もし何かあったら」という慎重さもあると思います。

 

でもこの写真館では、立ち姿の写真を撮るという前代未聞の(笑!)挑戦をさせていただき、試行錯誤してベストな方法を探ってくださいました。

 

カメラマン魂ですね~~。

 

できあがった写真はとても自然で、やっぱり新鮮でした。

これがその写真です!! とお見せしたいくらいですが、それはブログを実名化したときに笑。

写真はときどき眺めて、いつまでも大切にしたいと思います☆