車いすの夫とベルリンへ行きたいブログ

車いすユーザーの夫と暮らして発見したことなどをつづります。ドイツ語学習中。

エレベーター、この一筋縄ではいかない問題を言語化してみる試み②

すっかり間があいてしまいましたが、エレベーターについてもう少し書きたいと思います。

 

「じゃあ、エレベーターを車いす・ベビーカー優先にすればいいじゃん」という意見についてです。

車いすの夫はその考えには反対で、私も納得しているのですが。

彼いわく、その理由は「排除される側だった自分たちが、排除する側にまわることになる」ということだそうです。

 

排除……つまり、「これは車いす専用のエレベーターなんだから、歩いてる人はお断りです」と「お断り」する側になってしまうということです。

 

車いすユーザーが「排除されている」と感じる場面て、けっこうあると思います。

特に重さのある電動車いすの人ならなおさらです。

ラーメン屋に入ろうとしたらカウンターしかないとか。

そもそもラーメン屋への入り口が階段だとか。

広いトイレがないとか。エレベーターに乗れないももちろんですが。

 

そのたびに「来るな」と言われているような気分になったとしても不思議ではありません。

だとしたら、「来るな」と言う側にだけはなりたくない。と思うのは、想像にかたくないと思うのです。

 

 

……ところで。

車いす専用エレベーター」についてはある思い出があります。

 

都心のある新しい商業ビルにありました。何台か並んでいるエレベーターのうちの1台が「専用」だったわけです。

まあ、そのビルのエレベーター、来ない来ない。まーどこもその手のビルはどこもそんなもんですが。

 

それで待っていたら、やっと来たわけです。わりとすいてるエレベーターが。「専用」じゃない、ふつーの方のエレベーターが。

乗ろうとすると、女の子の手をひいた品の良い女性に言われました。「あっちに専用の、ありますよ」と。

 

一瞬ズキーン!!と心に一撃をくらってしまいました。「乗らないで」と言われたと思ったからです。

「あ、でも乗れるんで・・・」とどうにか反論し、いそいそと乗り込み。

 

気づきました。

 

あ、親切心か。

 

車いすの人には狭いと思ったんだ(十分余裕あったけど)。

 

その証拠?に、彼女は私たちが降りるときに「開」ボタンを押していてくれました(ありがとうございました)。

 

 

 

しばらくこのことについて考えました。

親切はありがたいのだけど、日本中に広まったらあかんな。

みんなに「専用のほう使ってください」って言われたら、いつも専用のが来るまで待たないとあかんやん(なぜか関西弁)。それに「車いすの人は別々が当たり前」ってなったら…ディストピアか。

 

夫は「自分たちが望んでいるのは平等性」といいます。「歩いてる人が待つのなら、同じように待つのはあたりまえ。ただ平等な機会を与えられないのは困る」

夫がほしいのは「特別扱い」ではなく、「同じであること」なわけです。

 

まあこれは、夫がかなり(身体的に)動ける人であることもおそらく関係していて、すべての車いすユーザーがそう思っているとは言えないと思います。

 

でも、私は夫の考えはとても納得できるものだと思っています。

専用エレベーターという発想がなくなるといいなーと私は思います。

そして、満員のときは、いぶし銀なナイスガイがさっと車いすユーザーに場所を譲ってくれたらいいなーとも思います。

 

私たちはベルリンに行きたいのですが、もし無事に行けたときには、ドイツのエレベーター事情はしっかり見てこようと思っています。